・ 安定して5連鎖ができるが折り返しに自信が無い方
・ 階段積みしかできない方
・ 10連鎖以上が安定しない方
以上のような初心者〜初級者を対象として、
積み込み技術全般を体系づけたテンプレートを提案する。
「土台」と「後折り返し」を中心として構成されており、以下の内容となっている。
1. まえがき
2. 先折GTR
2.1 初手に応じたパターン
2.2 GTR土台
2.3 References
3. 後折り返しとだぁ積みの複合技術
3.1 AAABパターンからのだぁ積み
3.2 折り返しを確定させる配置
3.3 折り返し条件
3.4 AABCパターンからのだぁ積み
3.5 References
4. まとめ
最近の新規参入プレイヤーは減少傾向であり、昔から力をつけてきているプレイヤーがほとんどとなってきている。
特に最善手を追求する不定形を駆使したプレイスタイルは最近の流行であり、柔軟さがパズルゲームの真髄だと主張してくるかのようだ。
定形を駆使するプレイヤーですら、超上級者ともなると非常に柔軟な対応が光る。
柔軟性はぷよぷよにおいて重要な素地であり、柔軟性のないプレイヤーは淘汰されてしまう現実が横たわっている。
しかしながら、柔軟性はある程度のレベルまでは必要がないと私は実感している。
私がぷよぷよ20th Wifiレートランキング100位以内に(一時的にではあるが)ランクインしたときに用いた技術の支配的な積み込み技術は
予め決められた通りに土台を作り上げるテンプレートであった。
しっかりと連鎖を作り上げて、確実に連鎖を打ち切ることが大事なのである。
連鎖力あってのぷよぷよの各種技術である。
ここでは、初級者が身につけやすいテクニックを複合させたテンプレート積み込み技術「テンプレ積み」を提案する。
提案するテンプレ積みは、それぞれの初手パターンの場合について、
1) ABAC、AABB 先折GTR
2) AAAB、AABC だぁ積み
という形を目指す技術である。
先折GTRについて考える。
初手ツモが与えられた時にどのように置くかを決める。
そして、基本的な土台を覚えてもらう。
GTRの土台組み込みで形に慣れてもらった後にだぁ積みを覚えてもらう。
そして、だぁ積みからの後折を考える。
後折とは先に土台を作ってから折り返しを作ることであるが、これは初心者〜初級者にとって非常に難しい。
そこで、後折手順として後折GTRとL字折り返しに絞ったテンプレートを与える。
折り返しにテンプレートが与えられることにより、これまで以上に土台の作り方の見通しが良くなるだろう。
最後に派生形、全消しに触れ、テンプレ積みの問題点を示す。
これらは改良点としてプレイヤーが手を加える場所として紹介し、新たなテンプレートを考える糧としてもらう。
柔軟さとはテンプレートの幅広さではないかと私は信じている。
ABACパターン
初手が例えば「赤青 赤黄」という組み合わせを考えてみる。
これは「青赤 赤黄」や「青黄 黄赤」でも同様の議論が可能なので、AB ACパターンと呼称される。
このようなパターンであれば、初手を図1のように置くことを予め決めておく。
予め決めておけば、迷わずに済む上に似たような積み込みを何度も経験することができるので上達が早い。
AABB or ABABパターン
同様にして AABB もしくは ABABパターンについて考えてみる。この場合は図2のように置くように決める。
ABABでは上下の色を決めることができるが、色の優越はないので順序は適当で良い。
(nextを見て決めるという手段もあるが、それが与える影響を初級者は考えなくて良い。)
図1 ABACパターンでの初手 |
図2 AABB または ABAB パターンでの初手 |
目指す形
図1や図2のような形から図3の「GTR折り返し」と呼ばれる形を目指すことを考える。
GTRは非常に簡単に作ることができる。
図4にツモを適当に与えたときの、図1からの置きパターンを示した。
赤、青、黄に関係するツモの受け入れがほとんど折り返しの完成に直結していることが見て取れる。
緑に偏る、青が全く来ないといった事故が置きなければすぐにGTRの部分が完成する。
図3 GTR | 図4 初手からの様々なパターン |
GTRの土台はここで提案しているテンプレ積みの基礎となる。全部を覚えていただきたい。
ここで紹介する土台はどれも同じような頻度で出現する。
様々に形が存在しているが、主たる形として4パターンに分類できる。
ぜひマスターしてほしい。
また、一部の技術が使えなくても、知っている形(最低限、階段だけでも)があれば先折GTRは十分実戦で使っていける。
形を覚えれば覚えるほど選択肢が増えるので、その分連鎖が伸ばしやすくなるくらいに思っていただければよい。
2.2.1 階段
図5に階段を利用した形を示す。
ぷよぷよでは基本技術として知られる2−2階段や3−1階段を利用した形である。
1番左の形を基本として覚えてほしい。
色の配色は関係ない。連鎖の最後の青はおまけと思っていい。
2番目の形は黄色の置き方に変化をもたせたものである。
平たい土台となり使いやすい。
3番目の形はクッションの青によって3−1階段にしたものである。
しかしながら、3番目の形は一番後ろの赤が完成しにくいためあまり用いられない。
局所的な場面で用いられる。クッションだけ覚えておいてほしい。
図5 先折GTRからの階段 |
2.2.2 変形階段
図6に変形階段の形を示す。
2つともセットで覚えてほしい。
特に名前は存在しないのだが、便宜上「変形階段」という名前にした。
図5の階段系ではどうしても組みづらいツモがあったりする。
そのときは図6のような形に組み替える。
階段に慣れているプレイヤーが初めてGTRを覚える上で最初に練習が必要になる形かと思う。
変形階段のほうが組みやすいと思うまで練習してほしい。
この形は、通常の階段より平たくなる、ちぎりを少なくできるといった利点がある。
特に利点があるのは図7のような状況で、綺麗な階段が組みづらい場合である。
このように赤は揃っているけど、階段の一番後ろは汚くなりそうという場合に威力を発揮する。
図8にその後の展開を示す。
2−2階段を目指して進めたが、ネクストを見る限り2−2階段から崩れた形にしか見えない。
ここで、変則階段の形を思い出し、図8の2つ目の図に移行する。このように進めることで土台が安泰に完成する。
(とはいえ、この程度の形なら階段でも良いというのはあるが)
図6 変形階段 |
図7 2−2階段が難しい形 |
図8 図7からの続き 2−2階段からの変則階段への変化 |
2.2.3 横2つ
図9に黄色を横2つに変形した形を示す。
黄色の形に着目して見てほしい。前の節で示した階段系統とは異なる形である。
この形はAABBパターンからの出現率が高い。
ABACパターンからこの形を狙って組んだほうが綺麗になることも多い。
練習して慣れていこう。
1つ目と2つ目とでは 位置がひとつ入れ替わっただけだが、全く異なる形のように見える。
2つ目の形も使えるようになっておこう。この形は連鎖尾「雪崩」の基本形である。
このような黄色の置き方で忘れていけないのが3つ目の形である。
この形は初手パターンAABCの形からの後折で出てきやすい形となる。
当然、先折GTRでも狙えればガンガン狙っていける、組みやすい形の一つである。
最後に図10のような派生系についても触れる。
図10のようなシーンでは緑黄をこのように置き進めるのも手段である。
図9 先折GTRから黄色を横2つにおいた場合の基本形 |
図10 派生系 |
2.2.4 横3つ
最後のパターンとして、図10のように黄色を横3つ並べた形を示す。
この形は黄色が偏って出現したり、同じ組み合わせのぷよが連続して出現する場合に用いられる。
これまでと違う、別の感覚が要求される土台なので、難易度が若干高い。
ここでは単純な形を3つほど取り上げて終わる。
1つ目と2つ目は基本系である。
何度も練習してマスターしてほしい。
ちなみに1つ目の緑は立てても倒してもよい。
3つ目はこれまでとは様子が異なる。
黄色の位置関係が変化している。
このような積み方もできることを覚えておいてほしい。
しかしながら出現率はそこまで高くないので重要度は高くない。
図10 先折GTRから黄色を横3つにおいた場合の例 1つ目と2つ目は良く見る形。3つ目はあまり見ないがごくわずかに用いる時がある。 |
LWTD VS kumachom (ぷよぷよフィーバー 50先)
http://www.youtube.com/playlist?list=PLlqsIsjJ-gpEVPSMTikDwXx8qd9_w-lZ6(2014.2)
GTRの先生と呼ばれるLWTDさんによる、GTRでの大連鎖にこだわった積み込みが見られる動画。
GTRのほとんどのパターンはこの50先で網羅されているため、この動画は非常に重宝された。
phan's games site
http://phans.org/puyo/(2014.2)
phanさんのぷよぷよ関係のHP。
私はここで学習し、この講座の内容もこのサイトの説明を私なりにアレンジしたものである。
(日付は アクセス日)
だぁ積みは柔軟性ある積み込みが特徴として紹介されることが多い。(Reference参照のこと)
しかしながら、テンプレ積みにおいては、だぁ積みの特徴を完全に捨てたような講座を展開することになる。
まず、だぁ積みの基本形を図11に紹介する。
このようにL字を敷き詰めたような形をだぁ積みと呼称する
図11の形を目指すための初手を考えよう。
一番やりやすい初手はAAAB or ABAA である。
このようなパターンからは図12以外の形を考えることを私はできない。
図12からの展開次第では、図13のように後折GTRや底上げL字と折り返し方法を変化させても良い。
さて、私が提案するテンプレ積みについて述べる。
ここではAAAB or ABAAの初手パターンの場合を仮定、つまり図12をスタートとして、
図11や図13に載せた主に3パターンをテンプレートにしたがって選択して、折り返しを含めた土台を完成させる。
図11 だぁ積み 基本形 |
図12 だぁ積みを狙う初手パターン |
図13 だぁ積み狙いからの折り返しパターン |
図12から折り返しを考えるといっても、考えるきっかけが無ければどうしようもない。
そこで、折り返し条件というものを考えたい。
まず、考えたいことは図12からどこまで発展すれば折り返しを考えられるのであろう。
まず、図13に初手から考えられる推移のパターンとして主たるものを4つあげた。
これらについてそれぞれ簡単に考察していく。
(a) |
(b) |
(c) |
(d) |
図13 初手からのパターン |
(a)は折り返しに関係するぷよはない。
したがって、(a)の形から折り返しの形が確定することは無いといえる。
自由度が高いということは柔軟性は高いが、「ぷよの置き方に選択肢が多い」ことも同時に言える。
このような形はテンプレートを考える上であまり意味が無い。
(テンプレートは形を決める置き方であるとも言える。)
(b)は緑が折り返しに関係するぷよとして存在している。
この形からは緑を折り返しの構成要素として、後折を考えることになる。
(c)は折り返しに関係するぷよとして黄と緑が存在していることになる上にL字折り返しができないため、後折GTRを狙うことになる。
(d)は黄黄の存在からL字折り返しを狙うことになる。
また、これらの形は手順という観点から興味深い関係を考えることができる。
(a) → (c) or (d) という手順を踏むことで、折り返しの形、すなわち後折GTRかL字折り返しという選択が確定する。
同様に (b)からの展開も同様なことが言える。
これらの違いは、右から3列目のぷよの配置で折り返しの形に見通しが立つようになることを示唆している。
すなわち、図14のような3つのパターンを考えることで折り返しの形を決めやすくなるという結論に到れる。
A型 |
A’型 |
AA型 |
図14 折り返しを確定する配置 |
折り返しを確実に成功させるために必要なことはNEXTを見て、置き方を決定することである。
では、NEXTに対してどのように置いていけばいいのだろうか。
まず、折り返しやすい状況とはなにかということについて考える。
折り返していくためには、同じ色のぷよが連続して来てほしいといえる。
階段積みからの後折を例に考えればわかりやすい。
青青、黄黄といったゾロツモが大きな助けになることは容易に想像できるだろう。
折り返しを考える上で重要な事は
1) 1/16の確率でしか来ないゾロツモなど、特定のツモが必要な状況をいかに作らないか。
2) NEXTに対して適切に折り返すことができるか
ということであり、これらを満たすテンプレートは一体何かというのが論点となる。
さて、折り返し条件を考える。
図14では、赤をAと表記し、AA型、A’型、A型という3つのパターンを考えている。
すべて、赤色が起点となることに着目したい。
加えて、一度に見えるNEXTは2つまでであることも考えると
すなわち、A◯ ◯◯ というNEXTが見えた時が折り返しチャンスの可能性があるといえる。
さて、折り返しを構成するのはなにもAだけではない。
これから積もってくるであろう色BをL字に構成して折り返しを作らなければならない。
Bは最低2ほしいと仮定しよう。
すなわち、
1) AA BB、 2) AB AB、 3) AB BB、 4) AB BC、 5) AC BB
という5つのNEXTに対して折り返しが可能であるとかんがえることができる。
図14の配置にこれらのツモをどのように捌けばいいかについて考えてみよう。
3.3.1 A型に対する置き方
図15にA型に対する置き方を示した。
A型からは基本的にL字折り返しか、底上げL字を狙うことができる。
5) AC BBのパターンは BB AC と来るとこの形にもっていけない。
その場合は図16のような置き方を狙うことでフォローできる。
1) AA BB |
2) AB AB |
3) AB BB |
4) AB BC |
5) AC BB |
3.3.2 A’型に対する置き方
図17にA’型に対する置き方を示した。
この形は理想的にはGTRを狙う。
特にA(赤)の置き方に着目したい。
その特徴が顕著に出ているのが4)の置き方である。
赤色の置き方がGTRという形を確定させているのである。
ツモでこのようにおいてしまえば、発火点を維持したまま折り返しを作ることができる。
3) AB BB や 5) AC BB の形は無理が生じているが仕方ない。
しかしながら、手順が似ているので覚えやすいはずだ。
狙う完成形を図18に示す。このように2列目を変形させることで折り返しを容易にさせる。
しかし、GTRに比べて暴発しやすい形なので、注意が必要である。
1) AA BB |
2) AB AB |
3) AB BB (注) |
4) AB BC |
5) AC BB (非可逆+注) |
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GTRにこだわらなければ図19のようなテンプレートが考えられる。
5) や 5')は鍵積みの折り返しである。
5')は無駄なツモが無いので効率が良い。
覚える余裕があれば覚えても良い。
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3) AB BB 代替案 |
5) AC BB 代替案 |
5') BB AC 代替案 |
3.3.3 AA型に対する置き方
図20にAA型に対する置き方を示した。
1) は置けないので、見送るしか無い。
5)は非可逆なので注意したい。
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||
1) AA BB (不可能) |
2) AB AB |
3) AB BB |
4) AB BC |
5) AC BB (非可逆) |
3) AB BB の置き方は実はこれの後に注意するべき手順が存在する。
図21 (a) のシチュエーションはよくあり得るシチュエーションである。
この瞬間、初級者は必ず図21 (b)のように置くだろう。
しかしながら、このような置き方は緑ゾロ、黄色ゾロが来ない場合に折り返しが非常に辛くなってしまう。
そこで、(c)のように置くことにする。
すると、緑ゾロ、黄色ゾロのみの2/16の確率の受け入れが、黄◯という7/16の確率が受け入れとして存在し、折り返しの見通しが格段に良くなる。
この理論は裏ハチイチ理論として知られる。(Reference参照)
このことを考えると、2) ABABの置き方は割と楽である。
赤青というツモが少々困るが、青◯というツモが来た瞬間に、折り返しの見通しが良くなるからである。
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(a) さてどこに置くのか。 |
(b) これは悪手 |
(c) このように置く |
ここまで様々なテンプレートを紹介した。
最後に、初手AABCのパターンについて述べる。
実は、このパターンが非常に難しく、一番幅広くてテンプレート化に悩んだ。
ここでは、暫定的な置き方を図18示す。
初手を図22(a)のように置くことで、前節で行ったA型のテンプレートが使える。
ここから、(b)または(c)などのように派生することもある。
複合的な力が試されるパターンである。
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(a) 初手 A型 |
(b) A’型 |
(c) AA型 |
右脳式ぷよぷよルーム だぁ積み または SMR
http://www.ne.jp/asahi/kaigo/aiai/p41_454.htm (だぁ積み)(2014.2)
http://www.ne.jp/asahi/kaigo/aiai/p41_456.htm(SMR)
だぁ積みをまとめている基本的なサイトの一つ。
似たようなものにSMRと呼ばれる土台があるので紹介しておく。
ぷよぷよ用語辞典 裏ハチイチ理論
http://www26.atwiki.jp/puyowords/pages/236.html(2014.2)
(日付は アクセス日)
GTR、だぁ積み、鍵積みという基本的な形からのテンプレートを示した。
GTRは頻出の形をツモに応じて選択できることが肝である。
だぁ積みは折り返し技術の練習が重要となる。
ちなみに、テンプレ積みにも弱点がある。
まず、全消し逃しの問題がある。
AABBのツモでは全消しを逃すパターンが存在するため、AABBに対して全く別のテンプレートが必要となる。
また、速攻に対応することが難しい。
なぜなら、テンプレ積み、特にだぁ積みからの折り返しは先にキーとなるぷよを置いてわかりやすくするという目的があるため、ぷよを散らして置く傾向がある。
すると、速攻に対して十分な火力が持てないなどの問題が生じてしまう。
これに対しても全く別のアプローチが必要となる。
これらの点は、各々のプレイヤーがオリジナリティを導入できる箇所である。
筆者は提案したテンプレ積みをベースとした積み込み技術を用いて、Wii20th Wifiランキング最高31位(2012.12.15)をマークした。
テンプレ積みによって、ぷよぷよ対戦での最低限の連鎖力を確保することができるだろう。
2014/2/28 執筆